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岡山地方裁判所 昭和51年(わ)101号 判決 1977年3月25日

本籍

岡山市奉遷町三丁目四番地

住居

同市伊島町一丁目一番五号

遊技場経営

守谷政子

大正七年一一月一三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官前田邦博出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金一、五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留意する。

右裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は岡山市駅前町一丁目二番一九号において遊技場浦島ホール(パチンコ店)を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て

第一  昭和四七年一月一日から同四七年一二月三一日までの所得金額は六五、九三八、一五七円、これに対する所得税額は三七、三五七、四〇〇円であるのに、売上げの一部を除外し、偽名の定期預金を設定するなどの行為により所得の一部を秘匿したうえ、同四八年三月一〇日所轄の岡山市天神町三番二三号岡山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、二六九、六五三円でこれに対する所得税額は三九一、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税三六、九六五、五〇〇円をほ脱し

第二  昭和四八年一月一日から同四八年一二月三一日までの所得金額は六八、一九三、五九七円、これに対する所得税額は三八、八九三、二〇〇円であるのに、前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同四九年三月一一日所轄の前記税務署に対し、所得金額が三、四〇八、四一五円でこれに対する所得税額は四〇八、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税三八、四八四、六〇〇円をほ脱し

第三  昭和四九年一月一日から同四九年一二月三一日までの所得金額は八七、八六六、二三三円、これに対する所得税額は五一、四〇三、五〇〇円であるのに、前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同五〇年三月一三日所轄の岡山東税務署長に対し(前記岡山税務署は昭和四九年一〇月一日岡山東税務署に名称変更)、所得金額が三、五八七、六〇九円で所得税額は三六三、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税五一、〇四〇、〇〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、守谷ハナヨ、平田棟一、玉原康道、貝原富男、柳生忠則、栗原誠一郎、浅原正人及び 田文雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検察官請求証拠目録請求番号五乃至八及び一〇乃至一七以下同様。)

一、大蔵事務官作成の各脱税額計算書(二乃至四)

一、押収してある所得税の確定申告書一綴(昭和五一年押第四八号符二一)

一、押収してある各総勘定元帳(右同押号符一及び一四乃至一六)

一、大蔵事務官作成の各差押てん末書及び各領置てん末書(一六九乃至一七四)

一、大蔵事務官作成の説税額計算書説明資料(追加目録請求番号二)

1  勘定科目現金

一、押収してある総勘定元帳四冊(前同押号符一及び一四乃至一六)

一、大蔵事務官作成の現金有価証券等現在高検査てん末書(一九乃至三〇)

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書「架空計上の現金残高について」(三一)

一、右時「簿外現金の確定について」(三二)

一、浦田典子、岩根源一郎、岩根幹三及び平田功太作成の各取引証明書(一六〇乃至一六三)

一、守谷ハナヨの昭和五〇年一二月一八日付大蔵事務官に対する質問てん末書(八問答一四)

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

昭和五〇年一二月二〇日付 問答一〇及び一二

同 年五月一三日付 問答一二

同 年一二月一九日付 問答一九

2 勘定科目預け金

一、押収してある預け金メモ一冊(前同押号符二五)

3 勘定科目各種預貯金

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書「預貯金等の各期末現在高の勘定について」(四四)

一、右同「普通預金の取引明細の確定について」及び「積立郵便貯金の確定について」(三三及び三四)

一、大蔵事務官作成の各現金有価証券等現在高検査てん末書(一三乃至三〇)

一、中国銀行岡山駅前支店長他作成の各銀行取引証明書(一二三乃至一四一、一四五乃至一四七、一四九乃至一五四、及び一五六乃至一五九)

一、安井総太郎他作成の各上申告、各答申書及び各回答書及び(五九乃至七五)

一、守谷ハナヨ、栗原誠一郎及び浅原正人の大蔵事務官に対する各質問てん末書(五乃至八、一五及び一六)

一、押収してある定期預金期日管理表、定期預金明細ノート及び定期預金手控ノート(前同押号符二、一〇、及び一一)

4 勘定科目株式、公社債及び各種信託

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書「株式、公社債投信及び貸付信託の各期末現在高の確定について」(四五)

一、同右「守谷政子が所有する中国銀行の株式の把握について」「株式、債権の取引状況について」及び「株式等の売買益及び元本の確定について」(三五、三六及び五二)

一、大蔵事務官作成の各現金有価証券等現在高検査てん末書(一九乃至三〇)

一、難波龍治他作成の各上申書、各答申書各証明書及び各回答書(七六、七七、七九、七四乃至一二二、一四二乃至一四四、一四八及び一五五)

一、守谷ハナヨ(昭和五〇年五月一四日付)及び 田文雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書(六及び一七)

一、押収してある証券関係明細ノート(前同押号符九)

5 勘定科目仮払金

一、貝原富男(昭和五〇年五月一六日付)及び池田満の大蔵事務官に対する各質問てん末書(一三及び一八)

6 勘定科目土地

一、押収してある不動産売買契約書一枚及び領収証綴一綴(前同押号符一二及び一三)

7 勘定科目事業主貸

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書「店主勘定(店主賃)の確定について」(四八)

一、同右「払込保険料の確定について」、「簿外支出の租税公課の確定について」及び「店主勘定(守谷京子送金額)の確定について」(四六、四七及び五七)

一、浦田典子他作成の各取引証明書(一六〇乃至一六三)

一、大蔵事務官作成の昭和五二年一月二一日付簡易連絡書(追加一)

一、守谷ハナヨの昭和五〇年一二月一八日付大蔵事務官に対する質問てん末書(六問答一九)

一、被告人の昭和五〇年一二月二〇日付大蔵事務官に対する質問てん末書問答(六及び一五)

一、押収してある各総勘定元帳(前同押号符一及び四四乃至四六)

8 勘定科目借入金

一、中国銀行岡山駅前支店作成の各銀行取引証明書(一三二及び一三四)

9 勘定科目事業主借

一、大蔵事務官作成の各調査事績報告書

「受取保険配当金の確定について」(三七)

「借入金の支払利息の確定について」(三八)

「母子年金の受給金額の確定について」(三九)

「守谷秀夫の死亡保険金の受取について」(四一)

「受取配当金の確定について」(四九)

「収入預貯金利息の確定について」(五〇)

「公社債、投信収益、分配金の確定について」(五一)

「株式等の売買益及び元本の確定について」(五二)

「受取保険金の確定について」(五三)

「守谷政子に帰属する公社債投信の収益の分配、社債の利子株式の配当(中国銀行の株式)の確定について」(五四)

「給付補てん金及び総合課税すべき利息の確定について」(五五)

「守谷ハナヨの課税状況について」(五八)

一、池田満の大蔵事務官に対する質問てん末書(一八問答一二)

一、中国銀行本店庶務部長他作成の各証明書(一四二)

一、東洋信託銀行大阪支店証券代行部他作成の各回答書(八五、九四乃至一二二)

10 勘定科目守谷喜美申告額

一、岡山東税務署長作成の各所得税修正申告書謄本(一六六及び一六七)

一、守谷喜美の昭和五〇年五月一三日付大蔵事務官に対する質問てん末書(九問答六)

一、押収してある所得税の確定申告書(前同押号符二一)

一、被告人の昭和五〇年五月一三日付大蔵事務官に対する質問てん末書問答二〇

11 勘定科目、価額変動準備金、青色申告控除額、青色専従者控除、従業員給料

一、岡山東税務署長作成の青色申告取消決議書謄本(一六五)

一、押収してある所得税の確定申告書一綴及び青色申告書綴一綴(前同押号符二一及び二二)

(法令の適用)

判示第一乃至第三の所為について

所得税法二三八条一項(懲役刑及び罰金刑併科)

併合罪加重

刑法四五条前段

懲役刑について

同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)

罰金刑について

同法四八条二項

換刑留置(罰金刑についてのみ)

同法一八条

執行猶予(懲役刑についてのみ)

同法二五条一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 白川清吉)

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